2012年 09月 14日
【考察】議員定数、削減すべき?【笹竜党】 |
(角田晶生・笹竜党 代表)
最近よく聞かれる、議員定数の削減(要するに議員を減らす事)。市民の関心を反映してか、議員によっては「選挙の争点」として言及される方もいます。
鎌倉市においても何かと話題になっているようですが、果たして議員定数の削減が、本当に市政=市民にとって有益なのでしょうか。
鎌倉市を例に、検証してみようと思います。
現在、鎌倉市議会における議員定数は28名(一名の欠員については、今回は計算外とします)、鎌倉市民は約174,000名。
鎌倉市民を議員定数で割ると6214名(端数切り捨て)となり、これが議員一名あたりが代表すべき市民の人数(あくまでも理論上の話ですが)となります
ここから議員定数を(どういう根拠か、よく聞かれる)8名削減して20名にすると、議員一名当たりの市民は8700名となりますが、果たして一人の議員が、これだけの市民の代弁者となれるかと問われれば、甚だ疑問と答えざるを得ません。
(投票率の低さから、実際はこれだけの市民の代弁者となる必要はない、というご意見もあるでしょうが、有権者の棄権を前提として政策を掲げ、市政を行うべきでないことは、言うまでもありません)
議員定数を増やせとは言いませんが、安易な削減は、市民の声を届け難くする他、議員(候補者)が広く支持を得たいがために、その訴え、執る政策がより大衆的かつ抽象的、平たく言えば「当たり障りのない」「中身のない」「綺麗事」しか言わなく(言えなく)なる危険性が高まる事で、議会が具体性を欠き、形骸化する恐れがあります。
歳出削減を考えるなら、議員定数よりも議員報酬に着目すべきです。議員の削減は市政に対して確実に影響を及ぼしますが、議員個人の収入に関しては、削減したところで市政にほとんど影響を及ぼさないからです(と言って、議員としての必要な活動に支障を来したり、品位を保てないほど安いのも考えものですが)。
議員定数の削減という、分かりやすい目先の「人気取り」も一つの選挙戦略でしょうが、それが市政ひいては市民生活に及ぼす影響は、意外に大きいのかも知れません。
もちろん、選挙の時くらいしか顔を見ない、ふだん議会内外での仕事振りも怪しい議員も確かにいるのは残念な事実ではありますが、だからと言って安直に定数削減を唱えるのではなく、真面目に働く議員を有権者が選ぶべきなのです。
ちなみに、本稿はとにかく議員定数の維持を訴えるのが目的ではなく、現状の議員定数が本当に適切であるかどうかを議論する事を否定するものではありません。
ただ「議員を減らせば税金が浮く」という(他にほとんど根拠のない)安易な削減論に対して一石を投じるものです。
【補記・試算】
さて、上記の趣旨から、現在の議員報酬を、一名あたりいくら削減すれば、現在削減が主張されている8名分を賄えるのか、鎌倉市を例に試算してみようと思います。
現在、鎌倉市議会議員の議員報酬は459,840円(平成25年5月14日まで暫定削減中)。
鎌倉市/市議会議員は?
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gikai/giin2009.html
これに削減が主張されている8名分をかけると、459,840円×8名=3,630,720円となります。
この3,630,720円を現在の議員数28名が平等に負担すると、3,630,720円÷28名=129,669円(端数繰り上げ)となります。
つまり、議員一人当たり報酬を130,000円削減すれば、議員8名を削減するのと概ね同じ効果が見込めます。
※もちろん、政務調査費50,000円/月やその他の諸経費も加味すれば、まったく同じではないものの、現状の「暫定削減」よりは大胆な削減であると考えます。
※ちなみに、政務調査費についても同様の試算をしてみますと、
50,000円×8名=400,000円≒14,286円(端数繰上げ)×28名
ですから、議員一名あたり14,300円ほど削減すればいい計算になりますが、あまり何でもかんでも削減というのは、本来の目的を果たせなくなるおそれがあるため、慎重であるべきです。
また、期末手当につきましては金額が出ていないため、今回は取り扱いません。
最近よく聞かれる、議員定数の削減(要するに議員を減らす事)。市民の関心を反映してか、議員によっては「選挙の争点」として言及される方もいます。
鎌倉市においても何かと話題になっているようですが、果たして議員定数の削減が、本当に市政=市民にとって有益なのでしょうか。
鎌倉市を例に、検証してみようと思います。
現在、鎌倉市議会における議員定数は28名(一名の欠員については、今回は計算外とします)、鎌倉市民は約174,000名。
鎌倉市民を議員定数で割ると6214名(端数切り捨て)となり、これが議員一名あたりが代表すべき市民の人数(あくまでも理論上の話ですが)となります
ここから議員定数を(どういう根拠か、よく聞かれる)8名削減して20名にすると、議員一名当たりの市民は8700名となりますが、果たして一人の議員が、これだけの市民の代弁者となれるかと問われれば、甚だ疑問と答えざるを得ません。
(投票率の低さから、実際はこれだけの市民の代弁者となる必要はない、というご意見もあるでしょうが、有権者の棄権を前提として政策を掲げ、市政を行うべきでないことは、言うまでもありません)
議員定数を増やせとは言いませんが、安易な削減は、市民の声を届け難くする他、議員(候補者)が広く支持を得たいがために、その訴え、執る政策がより大衆的かつ抽象的、平たく言えば「当たり障りのない」「中身のない」「綺麗事」しか言わなく(言えなく)なる危険性が高まる事で、議会が具体性を欠き、形骸化する恐れがあります。
歳出削減を考えるなら、議員定数よりも議員報酬に着目すべきです。議員の削減は市政に対して確実に影響を及ぼしますが、議員個人の収入に関しては、削減したところで市政にほとんど影響を及ぼさないからです(と言って、議員としての必要な活動に支障を来したり、品位を保てないほど安いのも考えものですが)。
議員定数の削減という、分かりやすい目先の「人気取り」も一つの選挙戦略でしょうが、それが市政ひいては市民生活に及ぼす影響は、意外に大きいのかも知れません。
もちろん、選挙の時くらいしか顔を見ない、ふだん議会内外での仕事振りも怪しい議員も確かにいるのは残念な事実ではありますが、だからと言って安直に定数削減を唱えるのではなく、真面目に働く議員を有権者が選ぶべきなのです。
ちなみに、本稿はとにかく議員定数の維持を訴えるのが目的ではなく、現状の議員定数が本当に適切であるかどうかを議論する事を否定するものではありません。
ただ「議員を減らせば税金が浮く」という(他にほとんど根拠のない)安易な削減論に対して一石を投じるものです。
【補記・試算】
さて、上記の趣旨から、現在の議員報酬を、一名あたりいくら削減すれば、現在削減が主張されている8名分を賄えるのか、鎌倉市を例に試算してみようと思います。
現在、鎌倉市議会議員の議員報酬は459,840円(平成25年5月14日まで暫定削減中)。
鎌倉市/市議会議員は?
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/gikai/giin2009.html
これに削減が主張されている8名分をかけると、459,840円×8名=3,630,720円となります。
この3,630,720円を現在の議員数28名が平等に負担すると、3,630,720円÷28名=129,669円(端数繰り上げ)となります。
つまり、議員一人当たり報酬を130,000円削減すれば、議員8名を削減するのと概ね同じ効果が見込めます。
※もちろん、政務調査費50,000円/月やその他の諸経費も加味すれば、まったく同じではないものの、現状の「暫定削減」よりは大胆な削減であると考えます。
※ちなみに、政務調査費についても同様の試算をしてみますと、
50,000円×8名=400,000円≒14,286円(端数繰上げ)×28名
ですから、議員一名あたり14,300円ほど削減すればいい計算になりますが、あまり何でもかんでも削減というのは、本来の目的を果たせなくなるおそれがあるため、慎重であるべきです。
また、期末手当につきましては金額が出ていないため、今回は取り扱いません。
by sasalindou
| 2012-09-14 01:23