2013年 03月 26日
【若き防人たちへ】新入隊員へ贈る言葉。【元海上自衛官・角田晶生】 |
角田1士(平成20年10月20日)。 posted by (C)角田晶生
(角田晶生 つのだ あきお・笹竜党 代表)
元海上自衛官、と名乗るからには、現役時代というものが当然ある訳でして。
今からちょうど6年前の平成19年3月26日。志一つをボロボロのバッグに詰め込んで、海上自衛隊へ入隊しました。
着隊先は横須賀教育隊 第35分隊 第3班。これから生涯の付き合いになるともならないとも判らない同期たちと、娑婆とは違う空気を呼吸しながら、緊張していたのを覚えています。
北朝鮮の核実験(平成18年10月10日)に奮い立って入隊したはいいものの、本当に戦争が起きるのか、いかに手柄を立ててやろうか、そして殉職したら、靖国神社に祀って貰えるのだろうか。
そんな事を考えながら、右往左往していたのでした。
それから三年、幸か不幸か大きな動乱も手柄の立て場もないまま、政権も防衛大臣もコロコロ変わり、一任期を終えて娑婆に帰って来たのが、ちょうど3年前の昨日、平成22年3月25日のことでした。
よくも悪くも、色々なことがありました。
辛いことも苦しいことも哀しいことも悔しいことも寂しいことも、全部血肉として生きてきました。
自分たちがその末端を担い守ってきた平和の尊さ、そして、「戦争反対」と言いながら粗末にされるわが国の平和。一番恵まれている人ほど、一番その大切さを知らないと言われますが、まったくその通りだと思います。
そんな思いをスピーチにまとめて、動画にアップロードしたものがあります。
もしよろしければ、ご視聴頂けましたら幸いです。
YouTube - 【陸海空自衛隊】新入隊員は日本の誇り。【角田晶生】
http://www.youtube.com/watch?v=zGhX86HM4ZY
【動画】陸海空自衛隊・新入隊員へ贈る言葉。【角田晶生】
http://shinpu-nishitokyo.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-25ef.html
<以下、スピーチ本文>
皆さん、初めまして。予備海士長、角田晶生と申します。
この度は、陸上・海上・航空自衛隊へのご入隊、誠におめでとうございます。
志願の動機は皆さんそれぞれでしょうが、日本国の「平和と独立を守る」という自衛隊の本義についてはご理解いただいているものと思います。
制服に袖を通す時。自衛官に何が求められ、何を覚悟しなければならないのか。皆さんはきっと、それを肌で学ばれることでしょう。
地本(地方協力本部)の担当者が、何と言ったかは知りません。
説明会で皆さんが、何を聞いたかは知りませんが、これだけは言えます。
自衛隊が「軍隊」じゃないとか何だとかいう屁理屈は、日本でしか通用しません。
世界中の国々は、既に自衛隊をれっきとした軍隊と見なし、そのように扱っています。
例えば、私が外国人に自己紹介する時、「Maritime Self Difence Force(海上自衛隊)」と名乗っても、彼らは理解できません。どこからどう見ても「Navy」即ち「海軍」だからであり、私たちも多くはそのように名乗ります。
そもそも、軍隊が自分の国を防衛するのは当たり前です。
日本を守るのは、日本国憲法第九条ではなく、自衛隊です。
皆さんがその一員となることを、共に日本を守れることを。
私は心より歓迎いたします。
自衛隊生活は、決して楽しく、有意義なことばかりではないでしょう。
また、広報のPRビデオで見たような、華やかな任務ばかりでもありません。
むしろ、その大半は地味でつまらなく、「骨折り損のくたびれもうけ」。まるでドブ浚いのような任務で成り立っている、と言ってもいいくらいです。
でも、それは「誰か」がやらなくてはならない仕事です。
どうせ「誰か」がやらなくてはならないなら、「自分」が買って出よう。
その心意気、義勇の精神こそが、自衛官の真骨頂です。
一任期。まずはやってみて下さい。
2年から3年もすれば、日本の平和がどのように守られてきたのか。
そのかけがえのない平和を、日本人がどれだけ粗末にしてきたのか。
骨身に沁みて、理解できると思います。
その上で、考えてみて下さい。
日本とは何なのか。日本人とは何者なのか。
先人たちが、どういう思いで「今」を生きる「私たち」に受け継いで下さったのか。
私たちが、どのように「未来」に生きる「子孫たち」に受け継がねばならないのか。
国を守る、とは、まさにそうした営みであり、その最前線に立たれる皆さんを、私は日本国民の一人として、心から誇りに思います。
断言してもいい。皆さんは、日本の誇りです。
どうか胸を張って、堂々と任務に邁進されますようお願いいたしまして、お祝いの挨拶とさせていただきます。
皇紀2672・平成24年4月吉日
海上自衛隊 予備海士長 角田晶生。
<ここまで>
海上自衛官時代が3年間。そして、娑婆に戻って3年間。
どちらがよいとも悪いとも言いませんが、実に色々ありました。
そしてこの歳月は、今後益々躍進するための糧となっていることを、改めて実感しています。
祖国(くに)を愛し、故郷(クニ)を守る。
拙くも身体を張ってご奉公して来たからこそ、堂々と言わせて頂きます。
私たちの日本を、鎌倉を。私たちの手に、取り戻します。
<オマケ>
YouTube - 地連のオヤジにだまされて。【軍艦行進曲の替え歌・角田晶生】
http://www.youtube.com/watch?v=_HQMz8VXz5E
※自作の替え歌です。自衛隊生活の雰囲気を、少しでも味わっていただけましたら幸いです。
<歌詞>
一、
地連(ちれん)のオヤジにだまされて
入隊したよ海上自衛隊(じえいたい)
聞くのと見るでは大違い
駆けずれ這いずれ日本(くに)のため
故郷に錦を夢に見て
今日も今日とて前支(まえささ)え(※1)
二、
喇叭(らっぱ)の音で総員起床(おこされて)
日出(あさ)から消灯(ばん)まで怒鳴られる
泣いてる暇などありゃしない
日々の忙(せわ)しさに目が回る
イジメも当直(ワッチ。※2)も乗り越えて
したたる汗涙(ひかり)輝かせ
<ここまで>
(※1)体罰の一種。腕立て伏せの姿勢でずっと静止させる。
(※2)Watchの訛り。つまり見張り。
by sasalindou
| 2013-03-26 21:12