2013年 12月 09日
【今さらながら】鎌倉市長選の総括-ごみ問題について。【角田晶生】 |
(角田晶生 つのだあきお・笹竜党 代表)
去る平成25年10月27日(日)に執行・投開票された鎌倉市長選について、できればその日の内に書いておきたかったのですが、日々の仕事や諸々の活動、その日ごとのネタを書くのに追われて機を逸してしまい、もういいかな、とも思っていたのですが、ちょっと書いておかねば、と思い直す事があったので、やはり書いておくことにします。
「過(あやま)ちては改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」
※過ち(今回の場合は、やはりこうした方がいい、という程度の事)に気づいたら、ためらわずに改めた方がいい、という諺です。
過ちては改むるに憚ること勿れ - 故事ことわざ辞典
http://kotowaza-allguide.com/a/ayamachitearatamuru.html
さて、時は11月の末ごろ。我が家のポストにチラシが入っていました。
いわゆる討議資料(政治活動チラシ)、その主は現職市長の推薦を受けて当選した新人議員のそれでした。
どれどれ……と、タイトルを一瞥。そこには「鎌倉市長選の争点」という文字が踊っていました。
……?
市長選は、とっく(1か月ほど前)に終わっている筈……と思いながらも、まぁ何か意図があっての事であろうと一読してみると、概ねこんな内容でした。
1)鎌倉市長選では、ごみ問題を争点に松尾(現職)・岩田(新人)両候補が戦った。
2)結果、松尾候補が当選したのだから、民意は松尾市長のごみ政策を支持している。
3)しかし、あろうことか議会ではごみの戸別収集・有料化に反対する声が多い。
※10月3日「家庭系ごみの戸別収集・有料化全市実施の計画を見合わせることを求めることに関する決議」が可決。
4)自分は市民の味方として、市長のごみ政策を支持していく。
……自身の選挙で支援して貰った恩義もあるでしょうから、その点を差し引いたとしても、どうしても脳裏に「腰巾着」という言葉が浮かんでしまいます。
それはそうと、私はこのチラシ内容について、どうしても指摘したい点があります。
【指摘その1:松尾市長が、ごみ問題を選挙の争点にしたとは言い難い】
この議員は文中で「ごみ問題を争点に戦った選挙で勝ったのだから、市民は松尾市長のごみ政策を支持している(要約)」と主張していますが、私にはそうは思えません。
むしろ、対抗馬の岩田候補が家庭系ごみについて「有料化・戸別収集を絶対にしない」という公約一本槍で攻めて来たのに対して、松尾市長はごみ問題について選挙公報に一切書かないなど、その矛先をかわし続けた印象があります。
もちろん、市民から訊かれれば答えざるを得なかったでしょうが、それは選挙の争点としてではなく、やむなく答えた感が否めません。選挙の争点にしたと言うなら、誰の手にも渡る選挙公報に堂々と載せた政策のみを言及すべきと考えます。
とは言え、選挙の戦略もあるでしょうから、絶対にごみ問題を載せるべきとまでは言いません(もちろん、市民としてはここまで関心の高い問題を載せないというのはどうかと思いますが)。
私が一言申し上げたいのは、選挙の時はのらりくらりと逃げ回って(いるのを知りながら)、勝ちが決まったらその尻馬に乗っかって「最初から訴えていたのだ」という顔をする不誠実な態度についてです。
多くの政治に無関心な市民の中には「ふーん、そうなんだ」と信じてしまわれる方もおいでと思われますから、ここに書き留めておきます。
※参考:松尾市長・岩田候補の選挙公報
【10月27日(日)鎌倉市長選挙】松尾たかし候補の選挙公報チェック。【角田晶生】
http://sasalindou.exblog.jp/21346108/
【10月27日(日)鎌倉市長選挙】岩田かおる候補の選挙公報チェック。【角田晶生】
http://shinpu-nishitokyo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/1027-c39b.html
【10月27日(日)鎌倉市長選挙】両候補の選挙公報。【角田晶生】
http://shinpu-nishitokyo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/1027-2f51.html
【指摘その2:松尾市長の再選=必ずしも市民の支持ではないこと】
確かに、選挙では松尾市長が勝利、めでたく再選を果たしました。
しかし、その投票状況を見てみると、笑いごとではない市民の声が聞こえてくるようです。
平成25年10月27日鎌倉市長選結果: 鎌倉おやじのブログ
http://politics-kamakura.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/251027-c347.html
まず、投票率は史上最低の37.4%(前回は44.6%=7.2%減)。実に10,902人の棄権者(=政治に失望している市民)を増やしてしまっていることを、松尾市長には真剣にお考え頂きたいと思います。
次に得票差ですが、岩田候補は今年4月の鎌倉市議選で1,000票も獲得できなかったため、当初は松尾市長の圧勝と思われたにも関わらず、その結果は松尾市長32,875票に対して、岩田候補が20,574票。岩田候補が頑張ったこともあるのでしょうが、それ以上に4割近くの市民が、松尾市政に対して「NO!」を突きつけているのです。それが、市議選の20倍以上の得票につながったものと考えられます。
そして、松尾市長に投票した市民の中には「松尾さんはダメだけど、岩田さんはもっとダメだから、どちらかを選ばなければならないなら」と、要するに「仕方なく」投票したという声も、少なからず聞かれます。
確かに、政治は「妥協の芸術」と言うように、どっちもダメでも、どちらかを選ばない事には何一つ前に進まないもの。その選択を、責めることなど出来ません。
しかし、私は松尾市長に対して、緊張感をもって市政に臨んで欲しい、という意味で選挙期間中、事あるごとに「白紙票」を投じるよう訴えて来ましたが、やはり自分の票が無効票にカウントされてしまうのは残念なものでもありますから、その数は847票と伸びませんでした。
※余談ながら、「どっちにも入れたくなかったから『角田晶生』って書いておいたよ。もっと力をつけて、是非とも挑戦して欲しい」と言って下さる方もいらして、誠にありがたい限りです。
ともあれ、4割近い「反松尾」票、そして得票の中に潜む未知数の「仕方なく松尾」票の存在を思えば、決して「選挙に勝ったから我々は支持されている」と言った楽観はできない筈です。
長くなってしまったのでまとめますが、
(1)松尾市長は、選挙の争点に「ごみ問題」を取り上げたとは言えない。
(2)選挙で勝ったからと言って、松尾市長の掲げるごみ政策が手放しに支持されているとは到底思えない。
と言ったところです。
しかし、選ばれた以上は私たち市民のリーダーとして、市政の確かな舵取りを、心よりお願い申し上げます。
去る平成25年10月27日(日)に執行・投開票された鎌倉市長選について、できればその日の内に書いておきたかったのですが、日々の仕事や諸々の活動、その日ごとのネタを書くのに追われて機を逸してしまい、もういいかな、とも思っていたのですが、ちょっと書いておかねば、と思い直す事があったので、やはり書いておくことにします。
「過(あやま)ちては改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」
※過ち(今回の場合は、やはりこうした方がいい、という程度の事)に気づいたら、ためらわずに改めた方がいい、という諺です。
過ちては改むるに憚ること勿れ - 故事ことわざ辞典
http://kotowaza-allguide.com/a/ayamachitearatamuru.html
さて、時は11月の末ごろ。我が家のポストにチラシが入っていました。
いわゆる討議資料(政治活動チラシ)、その主は現職市長の推薦を受けて当選した新人議員のそれでした。
どれどれ……と、タイトルを一瞥。そこには「鎌倉市長選の争点」という文字が踊っていました。
……?
市長選は、とっく(1か月ほど前)に終わっている筈……と思いながらも、まぁ何か意図があっての事であろうと一読してみると、概ねこんな内容でした。
1)鎌倉市長選では、ごみ問題を争点に松尾(現職)・岩田(新人)両候補が戦った。
2)結果、松尾候補が当選したのだから、民意は松尾市長のごみ政策を支持している。
3)しかし、あろうことか議会ではごみの戸別収集・有料化に反対する声が多い。
※10月3日「家庭系ごみの戸別収集・有料化全市実施の計画を見合わせることを求めることに関する決議」が可決。
4)自分は市民の味方として、市長のごみ政策を支持していく。
……自身の選挙で支援して貰った恩義もあるでしょうから、その点を差し引いたとしても、どうしても脳裏に「腰巾着」という言葉が浮かんでしまいます。
それはそうと、私はこのチラシ内容について、どうしても指摘したい点があります。
【指摘その1:松尾市長が、ごみ問題を選挙の争点にしたとは言い難い】
この議員は文中で「ごみ問題を争点に戦った選挙で勝ったのだから、市民は松尾市長のごみ政策を支持している(要約)」と主張していますが、私にはそうは思えません。
むしろ、対抗馬の岩田候補が家庭系ごみについて「有料化・戸別収集を絶対にしない」という公約一本槍で攻めて来たのに対して、松尾市長はごみ問題について選挙公報に一切書かないなど、その矛先をかわし続けた印象があります。
もちろん、市民から訊かれれば答えざるを得なかったでしょうが、それは選挙の争点としてではなく、やむなく答えた感が否めません。選挙の争点にしたと言うなら、誰の手にも渡る選挙公報に堂々と載せた政策のみを言及すべきと考えます。
とは言え、選挙の戦略もあるでしょうから、絶対にごみ問題を載せるべきとまでは言いません(もちろん、市民としてはここまで関心の高い問題を載せないというのはどうかと思いますが)。
私が一言申し上げたいのは、選挙の時はのらりくらりと逃げ回って(いるのを知りながら)、勝ちが決まったらその尻馬に乗っかって「最初から訴えていたのだ」という顔をする不誠実な態度についてです。
多くの政治に無関心な市民の中には「ふーん、そうなんだ」と信じてしまわれる方もおいでと思われますから、ここに書き留めておきます。
※参考:松尾市長・岩田候補の選挙公報
【10月27日(日)鎌倉市長選挙】松尾たかし候補の選挙公報チェック。【角田晶生】
http://sasalindou.exblog.jp/21346108/
【10月27日(日)鎌倉市長選挙】岩田かおる候補の選挙公報チェック。【角田晶生】
http://shinpu-nishitokyo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/1027-c39b.html
【10月27日(日)鎌倉市長選挙】両候補の選挙公報。【角田晶生】
http://shinpu-nishitokyo.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/1027-2f51.html
【指摘その2:松尾市長の再選=必ずしも市民の支持ではないこと】
確かに、選挙では松尾市長が勝利、めでたく再選を果たしました。
しかし、その投票状況を見てみると、笑いごとではない市民の声が聞こえてくるようです。
平成25年10月27日鎌倉市長選結果: 鎌倉おやじのブログ
http://politics-kamakura.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/251027-c347.html
まず、投票率は史上最低の37.4%(前回は44.6%=7.2%減)。実に10,902人の棄権者(=政治に失望している市民)を増やしてしまっていることを、松尾市長には真剣にお考え頂きたいと思います。
次に得票差ですが、岩田候補は今年4月の鎌倉市議選で1,000票も獲得できなかったため、当初は松尾市長の圧勝と思われたにも関わらず、その結果は松尾市長32,875票に対して、岩田候補が20,574票。岩田候補が頑張ったこともあるのでしょうが、それ以上に4割近くの市民が、松尾市政に対して「NO!」を突きつけているのです。それが、市議選の20倍以上の得票につながったものと考えられます。
そして、松尾市長に投票した市民の中には「松尾さんはダメだけど、岩田さんはもっとダメだから、どちらかを選ばなければならないなら」と、要するに「仕方なく」投票したという声も、少なからず聞かれます。
確かに、政治は「妥協の芸術」と言うように、どっちもダメでも、どちらかを選ばない事には何一つ前に進まないもの。その選択を、責めることなど出来ません。
しかし、私は松尾市長に対して、緊張感をもって市政に臨んで欲しい、という意味で選挙期間中、事あるごとに「白紙票」を投じるよう訴えて来ましたが、やはり自分の票が無効票にカウントされてしまうのは残念なものでもありますから、その数は847票と伸びませんでした。
※余談ながら、「どっちにも入れたくなかったから『角田晶生』って書いておいたよ。もっと力をつけて、是非とも挑戦して欲しい」と言って下さる方もいらして、誠にありがたい限りです。
ともあれ、4割近い「反松尾」票、そして得票の中に潜む未知数の「仕方なく松尾」票の存在を思えば、決して「選挙に勝ったから我々は支持されている」と言った楽観はできない筈です。
長くなってしまったのでまとめますが、
(1)松尾市長は、選挙の争点に「ごみ問題」を取り上げたとは言えない。
(2)選挙で勝ったからと言って、松尾市長の掲げるごみ政策が手放しに支持されているとは到底思えない。
と言ったところです。
しかし、選ばれた以上は私たち市民のリーダーとして、市政の確かな舵取りを、心よりお願い申し上げます。
by sasalindou
| 2013-12-09 20:27