2012年 05月 28日
賽銭箱に入れるもの。【神社の思い出】 |
※写真はイメージです。鎌倉市山ノ内・稲荷神社にて。
(角田晶生・笹竜党代表)
小学生の頃でした。
近所の神社でぼんやりしていた時、(下級生と思われる)小さな子がやって来て、賽銭箱にパラパラと何かを入れました。
それを見咎めた子が、その子をつかまえて言いました。
「おい、ここにはお金しか入れちゃダメなんだぞ!」
賽銭箱に入れたのは、どうも「木の実」のようでした。
「でも、入れるお金がないから」と、その子はたどたどしく、いつもピカピカに磨いて、大切にしていたクヌギの実(どんぐり)を入れたことを説明しました。
しかし、追及の手が緩むことはありませんでした。
「ダメだと言ったらダメなんだ!
お金がなければ、神様は願い事を聞いてくれないんだ!」
とても、寂しい思いがしたのを憶えています。
「お前の入れたどんぐりなんて、ただのゴミなんだよ!」
結局、言い負かされた(宝物をバカにされ、しかも取り戻せない)その子は泣きながら帰って行き、咎めた子も、相手を言い負かした事に満足したのか、どこかへ行ってしまいました。
境内の片隅でぼんやりしていた私だけが、最初と同じようにぼんやりと残されました。
「さて、と」
私は境内の小石を拾って、それを賽銭箱に入れました。
鈴を鳴らして拍手を打ち、こう願いました。
「どうか、お金のない人の願いも聞いてあげて下さい」と。
大切なのは、信仰だと思います。
日々に感謝し、よりよく生きようと願うこと。
投げる賽銭なんてなくても、どうか神社に行って下さい。
金額の多寡(たか。多い・少ない)で信仰を「量る」神様なんて、所詮ニセモノです。
お供えするのは、花でもドングリでもいいのです。
いつも心の片隅に思いを寄せて、忘れないこと。
「また来ましたよ」
あなたの元気な顔を見るのを、何より喜ばれるのが、日本の神様です。
私は、そんな神様が大好きです。
by sasalindou
| 2012-05-28 23:40